赤ちゃんを亡くした経験のある人のお話しを聞く機会ってあまりないですよね。
とってもデリケートなお話を、聞いてもいいんだろうか?
なんて言葉をかけたらいいのか分からない
心の傷を深めてしまうのではないか
あまり深くは聞かないで、そっとしていた方がいいんじゃないか
私だったらこんなふうに考えて、そっとしておくという選択をしていたと思います。
もちろん誰にも話したくないと思うママさんもたくさんいらっしゃると思います。
私は娘がお腹の中で生きた37週3日と、この世で頑張って生きた45日間のことを一人でも多くの方に知ってもらいたいなと思っています。
(と言っても、こんなふうに思えるようになったのはあれから2年以上が経って心が安定してきたからだと思います。)
娘とお別れしてから、娘が生まれてきた理由、お空に還った理由、自分にできることをずっと考えていて
娘との経験を誰かに伝えることなんじゃないかなと思ったのです。
ふだんあまり娘のことを詳しくお話しする機会がないので、今回は先天性心疾患と頭皮欠損症を併せ持って生まれてきてくれた娘とのお話【妊娠〜誕生まで】を記録したいと思います。
緊急帝王切開で娘が誕生!

2020年11月2日、緊急帝王切開で娘は誕生しました。
お腹の中にいる時から心疾患があると診断されていたこともあり、体は小柄。
それでも頑張って成長して1578gで生まれてきてくれました。♡
それからお空に帰るまでの45日間 NICUでお世話になりました。
妊娠20週|心疾患の疑い
妊娠20週のときに胎児の心疾患を指摘され、大学病院へ転院することになりました。
詳しく調べていただくと「ファロー四徴症」 という、およそ3600人に一人の確率で発症する心疾患で指定難病でした。
幸い、ある程度治療法が確立しているので最低でも「生後2〜3ヶ月目の体が大きくなってから」と「生後1年頃」の2回に分けて心臓の手術をすることになりました。
健康な身体に生んであげられないことを、お腹の赤ちゃんにとても申し訳なく思いました。
手術が成功すれば、多少の運動制限はあるけれど、元気な子とほとんど変わらない生活を送れるよと先生からお話を受けて少しだけ安心したのを覚えています。
妊娠24週|染色体異常の可能性もあり羊水検査をすすめられる

お腹の赤ちゃんは妊娠17週頃から「足が短めですね」と言われていました。
その頃は赤ちゃんの個性だろうと思って気にしていなかったのですが、妊娠20週の胎児スクリーニング検査で改めて胎児の足の短さの指摘と心疾患の疑いがあると診断されました。
そして大学病院でファロー四徴症の判断を受けた際にやはり胎児の体の小ささも指摘され、
「染色体異常の可能性もあります」 と
生後スムーズに対応する為にも主治医から羊水検査をすすめられました。
その時は理解するのでいっぱいで、「はい」としか答えられなかったけど
その後に看護師さんとの面談があり
「羊水検査をすすめられると言うことは、エコーで見た時に染色体異常の可能性が高いと判断されたからでしょうか…」
と恐る恐る質問してみると
「不安な気持ちはよくわかりますが、それはお答えできません」
としっかり目を見ながら言われて一気に不安に飲み込まれました。
看護師さんも何があるか分からないから「そんなことないですよ」とか、気軽に励ましの言葉を伝えられないんだろうな…と思ったら涙が出てきました。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
その場ですぐには受けると答えられず、次の検診まで夫婦で話し合うことにしました。
もし染色体異常だったら、自分はこの子を受け入れることができるのだろうか…
一人の人間ををこの世に誕生させることを 甘く考えていた…
自己嫌悪する日々。
結果を知るのは怖いけど、いずれは知ることになる。
生まれた時に何かあってもすぐに対応してもらえるように、羊水検査を受けることに決めました。
妊娠26週|羊水検査を受ける
羊水検査は26週で受けました。
結果が出るまでとても不安で、とくに外出中に元気なお子さんを見ると複雑な思いでいっぱいでした。
仕事ではお客様とお話しする時は「赤ちゃん順調?」と聞かれて
気を遣わせたくないから「順調ですよ〜」と話を合わせることも多く、それもちょっとストレスでした。
だいたいの妊婦さんは順調だよなぁ…
お話し真っ黒な思いを自分でどうすることもできなくて、苦しかったなぁ。
それでもこの現実を自分が受け入れなければいけない。
仕事終わりに旦那さんとトリソミーのお子さんの動画やSNSをみたり、子育てについて情報収集をして少しずつ心の準備をしました。
どんな病気をもって生まれてきても 全力でサポートできるように。
一番の味方でありたい。
妊娠28週|羊水検査の結果
検査結果は電話で教えてもらえるとのことで、その日は朝からそわそわしていました。
結果は陰性。
ぴーんと張られた糸が緩むように力が抜けて、とてもとてもほっとしました。
と同時に、こんなふうにほっとしている 自分にもまた自己嫌悪でした。
ようやく出産準備に
赤ちゃんの心疾患がわかってからは、それまでの幸せいっぱいのふわふわした日々から一気に不安でいっぱいの世界に入り込んだような毎日でした。
「赤ちゃんは生まれてすぐにNICUに入院することになると思います」
と言われていたこともあり、赤ちゃん用品や出産準備品もなかなか用意することができませんでした。
羊水検査で陰性とわかってからは一つの不安から解放されて、ようやく出産準備に取り掛かることができるようになりました。
「あとは生まれてみないとわからない」
先生からそう言われていたので、あまり深く重く考えないようにして
「なんとかなるだろう!」
となるべく前向きに考え、赤ちゃんの可愛い洋服を見たり妹や友達に会って楽しい時間を過ごしました。
妊娠34週|管理入院になる
臨月に入ると何度か赤ちゃんの心拍が下がる事があり、出産予定の3週間前から 管理入院になりました。
ようやく産休に入れて、残りの時間で旦那さんと一緒に過ごしたり手作りしたいものがあったり、やりたいことが山積みだったのに!でも、赤ちゃんが第一優先だからそんなこと言ってられないよね。
旦那さんと離れて生活するのはとても心細かったけど、赤ちゃんはいつも一緒にいてくれる。
お腹に話しかけながら、もうすぐ会えることを楽しみにゆっくり過ごしました。
妊娠37週|緊急帝王切開で娘が誕生!
赤ちゃんのお体が小さいことと、逆子だったこともあり予定帝王切開で話が進んでいたのですが
予定日の3日前にまた赤ちゃんの心拍が下がってしまったので
「赤ちゃんが元気なうちに今日出しちゃいましょう!」
と 急きょ緊急帝王切開になりました。
バタバタと準備が進み あっという間に娘が誕生!

娘は黒目が大きく目力があり、 とても生命力を感じました。